お金がなくてもお墓は持てる|公営墓地と永代供養で今できる選択【東京版】

目次

東京でお墓は高い?現実と抜け道

「東京でお墓を持つなんて、何百万もかかるんじゃないの?」はい、それが現実です。

実際、民間のお墓を都内で買うと、区画代・墓石・工事・管理費を合わせて200万〜400万円になることも珍しくありません。そんなお金無い…お墓を建てた人はみんなお金持ちなの?

いいえ、全員がそんな高額なお墓を建てているわけではありません。東京都にはもっと安くお墓を建てる仕組みがあるんです。

その代表が「公営墓地」と「永代供養」。この2つが何なのか?いくらなのか?が分かれば、お墓を建てるハードルはぐっと低くなるでしょう。

永代供養|跡継ぎがいなくても安心な方法

永代供養は、簡単にいうと「お墓参りや供養をお寺や霊園がずっとやってくれる仕組み」です。

跡継ぎがいない人、家族に負担を残したくない人にとって、これ以上ない安心材料。東京では施設の種類も価格も幅広く、自分の希望に合わせやすいのが特徴です。

合祀(ごうし)型

複数の遺骨をひとつの大きなお墓にまとめて納めます。

東京都立の合葬式墓所なら、1人あたりだいたい8万〜13万円ほど。墓石や個別区画はなし、維持費もゼロ。管理はすべて施設任せです。ただし一度合祀すると取り出せないのが普通なので、契約前に家族で必ず合意をとっておきましょう。

個別安置(期限付き)

13年や33年など、期間を決めて個別スペースに安置し、その後合祀に移します。

都内では20〜80万円くらいが相場。期間中は「自分のお墓」として参拝でき、命日やお盆も安心です。しばらくは個別でゆっくり、将来は合祀で負担を軽くする方法です。

個別安置(無期限)

ずっと個別で安置するタイプ。

相場は100万円以上になることも多く、永代供養の中では高めです。ただし屋内型や駅近の施設も多く、天気や年齢に左右されず参拝できるのは大きな魅力。うちのお墓感を残したい人に向きます。

永代供養の向き不向き

向いている人
跡継ぎがいない、管理負担を残したくない、アクセスを優先したい

向いていない人
改葬の予定がある、家としてのお墓を守りたい

公営墓地|区画を持ちたい人の選択肢

公営墓地は東京都や市区町村が運営する墓地で、営利目的ではないため価格が抑えられます。宗教も不問で、誰でも申込み可能です。

東京の代表的な公営墓地には、多磨霊園・小平霊園・八柱霊園・青山霊園があります。

公営墓地が安い理由

  • 利益を上乗せしない
  • 土地は購入ではなく永代使用権で㎡単価が明確
  • 大規模運営で管理コストが低い
  • 抽選制で人気が出ても値上げしない

相場(1㎡あたり)

  • 多磨霊園(府中市):約92〜95万円
  • 小平霊園(東村山市):約84〜88万円
  • 八柱霊園(松戸市):約20〜24万円
  • 青山霊園(港区):約297万円

墓石代は別で60〜150万円ほど。年間管理費は1㎡あたり750〜930円です。

公営墓地の申込の流れ(東京版)

お墓を申し込むって、聞いただけで面倒そうですよね。でも順番と必要なものさえ分かれば、初めてでもちゃんとゴールできます。

ここでは「準備から建立までの11ステップ」を、なるべく分かりやすく順に並べました。

0. まずは事前準備

最初に決めるのは3つだけ。

  • 区画サイズ(1.0㎡?0.8㎡?)
  • 申込みの種類(生前か、遺骨ありか)
  • 希望の霊園(第一〜第三希望まであると安心)

小さめ区画は総額が下がります。倍率も場所によって違うので、人気の青山を第一にしつつ、当たりやすい郊外も第二希望に入れておくと可能性が広がります。

1. 募集要項を入手

申込みは年1回、だいたい6〜7月ごろにスタート。

東京都の霊園案内ページからダウンロードできるほか、各霊園の管理事務所でも冊子がもらえます。細かい条件や書式は年によって変わるので、最新年度のものを必ず確認しましょう。

2. 必要書類をそろえる

  • 生前申込み:住民票(世帯全員の記載あり推奨)、本人確認書類、印鑑
  • 遺骨申込み:上記+火葬許可証か埋葬許可証、改葬なら改葬許可証
  • 代理申込み:委任状も必要

書類は必ず最新の様式を使用。古い年度のコピーは使えません。

3. 区画や墓所を決める

霊園と面積の組み合わせで使用料は大きく変わります。同じ1.0㎡でも、多磨霊園は92〜95万円、小平は84〜88万円。青山は297万円近くします。

この面積・この場所なら予算はいくらか、ざっくり見積もってから申し込みましょう。

4. 申込方法を確認

年度によってオンライン申込ができる場合と、郵送・窓口だけの場合があります。窓口は平日午前が比較的空いています。郵送なら、締切日の消印有効か必着かもチェックを。

5. 書類を提出

提出先は募集要項に書かれています。オンラインなら送信後に受付メールが届きます。郵送は追跡可能な方法が安心。窓口は控えの受領印をもらいましょう。

6. 受付番号を受け取る

申込完了後、受付番号が届きます。これは抽選のキー番号。番号が届かない場合は必ず確認を。書類不備で受理されていない可能性があります。

7. 抽選と倍率の感覚

倍率は場所と区画によってバラバラ。青山や小型区画は10倍以上になることも。一方で多磨の広め区画や合葬式墓所は倍率が低め。

外れても普通なので、毎年申し込み続けるのがコツです。

8. 当選後の支払い

当選すると、永代使用料の納付案内が届きます。支払い期限はだいたい1か月以内。銀行振込や納付書で払います。

ここで資金が準備できないと失効してしまうので、事前に用意しておきましょう。

9. 石材店を選ぶ

都立霊園は石材店の指定はありません。園内登録店なら手続きがスムーズですが、相見積もりもOK。同じ仕様で2〜3社に見積りを取り、金額だけでなく仕様や保証内容も比べましょう。

10. 建立申請と工事

石材店が図面と申請書を作成し、管理事務所の許可を取ります。

工期は1〜2か月が目安。繁忙期や天候で延びることもあります。完成後に検査があり、OKが出れば引き渡し。開眼法要や納骨の日程を決めます。

11. 墓碑建立の期限

年度によって異なりますが、多くは当選から1〜3年以内に建てる必要があります。期限を過ぎると使用権が取り消されることもあるため、逆算して計画を立てましょう。

相談できる窓口

  • 各霊園の管理事務所(平日午前が狙い目)
  • 東京都の霊園案内窓口
  • 区市の生活相談窓口(見積書の見方なども教えてくれる)
  • 石材業界団体の相談窓口(第三者の意見がほしいときに便利)

この11ステップを順番通りにやれば、初めてでも迷わず進めます。特に、当選後の資金準備と石材店選びは前倒しで動くのが失敗しないコツです。

公営墓地と永代供養の比較(東京版)

公営墓地:総額150〜250万円ほど。自分の区画を持てる。管理は自己責任。

永代供養:合祀8〜13万円、個別20〜80万円、無期限は100万円以上。管理はすべて施設任せ。

費用を抑える工夫(東京版)

お墓の値段って、選び方ひとつで何十万円も変わります。ここでは「やると安くなる方法」と「やらない場合の差」をセットで紹介します。どれも特別な技じゃなく、申込前にちょっと知っておくだけでできることです。

1. 小区画を選ぶ

区画が小さいと、その分使用料も墓石代も減ります。

例えば多磨霊園の場合

1.0㎡の場合
使用料:約92〜95万円
墓石+工事:約80〜120万円
合計:約170〜215万円

0.8㎡の場合
使用料:約74〜76万円
墓石+工事:約60〜100万円
合計:約134〜176万円

差額は30〜40万円以上。同じ石や仕様でもこれだけ違います。

選ばなかった場合

1.0㎡で豪華仕様にすると、墓石代だけで20〜50万円は上乗せ。特に外柵や石種で跳ねます。広さがどうしても必要じゃなければ、小区画のほうが確実にお得です。

2. 期限付き個別安置を使う

個別のお墓がほしいけど、永遠じゃなくてもいい、という人向け。13年や33年だけ個別で安置し、その後は合祀に移す方法です。

都内の相場は20〜80万円前後。期間中は普通のお墓と同じように参拝できます。

  • 期限付き個別安置:20〜80万円 → 期間終了後は維持費ゼロ
  • 無期限個別安置:100万円以上になることも多い

選ばなかった場合

最初から一般墓を建てると、最小構成でも130〜190万円前後(小平0.8㎡など)。初期費用だけで100万円以上差がつくケースも。家族の事情が変わるかもしれないなら、期限付きで様子を見るほうが安全です。

3. 納骨堂や樹木葬にする

屋内型や樹木葬は、石のお墓よりも安くて管理も楽。天気や足腰の心配も少なくなります。

  • 納骨堂(ロッカー式):10万円台〜
  • 納骨堂(仏壇式):30〜100万円前後
  • 自動搬送式:50万円前後〜
  • 樹木葬:20〜50万円前後

選ばなかった場合

公営の一般墓は150〜250万円前後が普通なので、最低でも数十万円、多ければ100万円以上の差。アクセスの良さも考えると、納骨堂は特に高齢になってからありがたさを実感します。

4. 生前契約で条件を選ぶ

お墓は早めに動くほうが有利です。

  • 空きがある時期はキャンペーンや手数料割引がつくことも
  • 区画の条件(入口近く、水場近く、段差なし)が選べる
  • 直前手配の割増や工期の遅れを避けられる

選ばなかった場合

選べる区画が減り、結局アクセスの悪い場所や段差の多い区画を選ばざるを得ないことも。交通費や参拝のしやすさを考えると、早めに動くほうが結果的に節約になります。

5. 助成制度をチェック

自治体によっては、葬送や納骨の費用を助成してくれる制度があります。

  • 金額は数千円〜数万円程度が多い
  • 対象は生活支援系や高齢者向け制度が中心
  • 区市の福祉課や生活支援課に確認すれば最新情報が分かる

選ばなかった場合

「知らないだけ」で受け取れるお金を逃すことに。制度は年度で変わるので、申込前に1本電話して聞いておくのが賢い方法です。

見学のススメ(東京版)

価格や写真だけで決めるのは危険。アクセスのしやすさ、参拝動線、段差や坂の有無、管理状況、法要費など、現地で確認すべきことはたくさんあります。

チェックするならココ

□都立霊園(公営墓地)
多磨霊園(府中市)
アクセス:JR武蔵小金井からバス約10分
参拝動線:平坦地が多く、車いすでも動きやすい
管理:都が一括、芝生は定期的に刈り込み
法要:年忌は利用者が寺院や僧侶を手配

小平霊園(東村山市)
アクセス:西武新宿線小平駅から徒歩約5分
参拝動線:駅近で便利、区画によって段差あり
管理:園内整備は都、墓所は使用者管理
法要:霊園側からの請求はなし(実費で手配)

□都立合葬式墓所(永代供養型)
多磨霊園 合葬式墓所
参拝:前面に広い参拝スペース、混雑時でも安心
管理:都が永代供養・清掃を実施
法要:合同法要あり(無料)

小平霊園 合葬式墓所
参拝:屋根付きの参拝所があり、雨の日もOK
アクセス:駅近で通いやすい
管理:都が永代供養、合同供養無料

□民間納骨堂(屋内型永代供養)
築地本願寺 納骨堂(中央区)
アクセス:東京メトロ築地駅すぐ
参拝:屋内・エレベーター完備、天候に左右されない
法要:依頼制(数千〜数万円)、銘板有無と料金を確認

寛永寺 納骨堂(台東区)
アクセス:日暮里駅から徒歩圏
参拝:静かな環境、時間帯の制限に注意
法要:合同供養無料、個別法要は予約制

見学時の質問リスト

  1. アクセスは?駅から徒歩何分/バス本数/駐車場台数
  2. 参拝動線は?階段や段差、雨の日の安全性
  3. 管理方式は?掃除や雑草、花や線香の扱い
  4. 法要費は?合同法要の有無と料金、個別法要の費用
  5. 契約条件は?生前申込み可か、遺骨なしでも可か
  6. 費用内訳は?永代使用料・管理料・墓石・彫刻など
  7. 将来対応は?改葬や引越し時の手続きと費用

まとめ|東京都でお墓を選ぶときのチェックポイント

  • まずは希望を決める:「区画が欲しい」or「管理を任せたい」
  • 予算の目安:
    公営(多磨1.0㎡)=約92〜95万円+墓石60〜150万円
    永代供養(合祀)=都立合葬 約8〜13万円台/個別(期限付き)=約20〜60万円台
  • 維持費の有無:公営=年750〜930円/㎡/永代=基本ゼロ(法要別の場合あり)
  • 立地・アクセス:駅・バス・駐車の有無
  • 参拝のしやすさ:段差・距離・屋根の有無
  • 管理方式:公営=自己管理/永代=施設管理
  • 法要の扱い:合同供養の頻度・有料/無料、個別法要の料金
  • 改葬(移転)の可否:将来の引越し可能性があるなら最初に確認

東京でお墓を持つのは高いと思われがちですが、公営墓地や永代供養をうまく使えば、費用も負担も大きく減らせます。
区画を持ちたいなら小区画+シンプル墓石、負担をなくしたいなら合祀型永代供養。

大事なのは早めに情報を集め、家族で話し合って決めることです。

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